就活生に人気のある商社業界ですが、実際に商社がどのような業界なのか知らない人も多いのではないでしょうか。就活で商社を選び、選考を突破するためには、事業内容を十分に理解することが必要です。
商社業界を志望する就活生は、以下のページを参考に、商社に向いているかどうか、どのようなスキルが求められているのかを理解して就活を行いましょう。
商社とは
商社とは、商品の輸出入と国内での販売を主な業務とする会社です。
商社は、国内メーカーの商品を調達し、その販売をサポートしています。ここでは、商社が行っている輸出入の一例をご紹介します。
例メーカーA社が原料の銅を欲しがっている。
A社だけで銅の産地と直接取引するよりも、A社＋B社＋C社でまとめて買ってもらった方が安くなる。その買い付けと流通をサポートするのが商社の仕事です。
商社はメーカーと混同されがちだが、両者には次のような違いがある。
メーカー：自社で製品を作り、販売する
商社：輸出入を行い、商品を仕入れて販売する
最近では、メーカーが自ら原材料を調達して販売するケースも増えており、商社とメーカーが混同されることが多くなってきています。
総合商社と専門商社の違い
商社には「総合商社」「専門商社」の2種類があります。2つの商社の特徴について、詳しく見ていきましょう。
総合商社の特徴
総合商社は「何でも屋」とも言えるほど、多種多様な商品を扱っている。
総合商社が扱う商品の幅広さを表す言葉として、「カップ麺からロケットまで」という言葉がよく知られています。
総合商社は日本独自のものであり、海外では「sogo shosha」と呼ばれている。
三菱商事や伊藤忠商事などの「5大総合商社」はよく知られているが、それ以外にも多くの総合商社があります。
専門商社の特徴
専門商社への就職を希望する場合、どの会社を選ぶかによって業務内容が大きく異なるので注意が必要です。
これらの事業は、一般的に専門性の高い商品を取り扱っているため、会社の業務もその特定の商品に特化したものになります。
ただし、専門商社によっては複数の商品を扱っている場合もあるので、応募する前によく調べておくことが大切です。
近年の商社のビジネスモデル
商社に応募する前に、その会社のビジネスモデルを調べておくことが重要です。
近年では、事業への投資と小売販売を担当する2つのモデルが主流となっています。
会社の運営方法を理解することで、その中で自分の役割をよりイメージしやすくなります。
事業投資も行う
従来、商社は原材料の調達、売買が中心でした。
しかし近年では、事業拡大のために企業を買収するM&Aが盛んになっています。
このようなビジネスモデルの変化により、M&A企業のCFOを経験するなど、さまざまな新しいキャリアの可能性が生まれています。
商社のM&Aの候補としては、「すでに大きく成長し、まだ成長の余地のある企業」が有力です。
スタートアップのインキュベーションや上場を目指すのであれば、商社の事業投資ではなく、投資銀行を目指すべきでしょう。
小売販売を担っている
商社は従来、主に原材料の仕入れに携わってきました。
しかし、近年では、小売商品の販売も行うようになってきています。有名なところでは、三菱商事によるローソン買収があります。
リテール商品を販売することで、原材料の調達からリテール販売まで、一貫した経営戦略を展開が可能となりました。
商社で働くメリット・デメリットとは
毎年、就活生の間で人気の商社業界ですが、メリット・デメリットは何でしょうか。メリット・デメリットを十分に理解し、自分に向いているかどうか考えてみましょう。
商社で働くメリット
商社で働くメリットは、以下の通りです。
1.大規模な仕事を経験できる
2.社会からの信頼度が高い
3.給与が高い
商社は海外勤務の機会が多く、グローバルな仕事を経験したい人に向いています。語学習得の努力は必要かもしれませんが、海外の担当者とやり取りになるので、有意義な仕事体験になります。
また、商社勤務という肩書は一般的に信頼度が高いというのもメリットです。
親世代からの認知度が高いため、恋人の親からも信頼を得やすいでしょう。
また、年収が一般企業よりも高いというのもメリットです。基本給は一般企業より少し高い程度ですが、ボーナスの多さや福利厚生の手厚さなど、高待遇も魅力です。
商社で働くデメリット
メリットが多いように感じられる商社勤務ですが、以下のようなデメリットが挙げられます。エントリーする前に、デメリットも十分把握しておきましょう。
商社で働くデメリットは以下のとおりです。
- 配属リスクがある
- 転勤リスクがある
- ワークライフバランスが実現しにくい
商社で働くデメリットは、自分のスキルセットに合わない部署に配属される可能性があることです。しかし、多くの商社ではジョブローテーション制度を導入しており、社員が別の部署に移動することが可能です。そのため、商社に就職する前に、その会社のジョブローテーション制度について問い合わせておきましょう。
転勤のリスクは、メリットでもありデメリットです。他業種と比較すると、遠隔地への転勤の可能性があることは理解しましょう。
また商社勤務は、時間外のやりとりが頻繁にあることも特徴です。また、早朝や深夜に業務を行うことも多く、ライフワークバランスをとることが難しい業界と言えます。
商社に向いている人の特徴
商社勤務に向いている人は、以下のような特徴があります
- 好奇心が旺盛で、常にもっと知りたいと思っている
- 協調性があり、他人と一緒に仕事をすることを厭わない
- 他人と誠実に接し、強い人間関係を築ける
- 特定の分野で経験を積んでいる。
一つずつ解説していきます。
好奇心が旺盛
商社に向いている人の特徴のひとつが「好奇心旺盛な人」です。
特に総合商社は幅広い商材を取り扱うため、気になったことをすぐに調べて知識を吸収できる好奇心旺盛な人に向いています。思わぬところで知識が必要になる場合もあるため、常に勉強を欠かさない意識をもつことが大切です。
協調性がある
好奇心旺盛で、興味を持ったことについて調べたり、知識を吸収したりできる人が商社に向いています。
思わぬところで知識が必要になることもあるので、常に勉強する姿勢を持つことが大切です。
目の前の相手と誠実に向き合い関係性を築ける
人と真摯に向き合い、関係を構築する能力も、商社を志す人にとって大切な資質です。取引先のニーズを汲み取り、誠意ある対応で信頼関係を築くことが必要です。
ひとつのことを突き詰めた経験がある
商社は、一つのことにこだわり続けた経験を持つ人は歓迎されます。
このような経験は、商社が高く評価する「困難に立ち向かう力」「あきらめない力」の証明となります。
例えば、高校時代に野球部に所属し、3年間頑張って甲子園に出場した人は大きな戦力となりますし、商社の選考ではそのような経験も考慮されます。
商社で働くために身につけるべきスキル
商社は様々な商品を扱っているので、その仕事に必要なスキルをアピールすることが必要です。ここでは、商社を志望する際に重視されるスキルを紹介します。
語学力
商社は海外との取引がメインとなるため、語学力が必須条件となります。特に英語力は高い水準が必要で、TOEIC600点以上が目安となります。商社によっては、入社後に英語の社内研修が行われることもあるので、事前に語学力を高めておくとよいでしょう。
コミュニケーションスキル
商社で働くために必要な最も重要なスキルの1つは、効果的なコミュニケーションです。相手が何を求めているのかを理解するために必要なスキルです。また、社内の他部署だけでなく、サプライヤーや販売パートナーとも仕事をすることになるので、協調性も必要です。
プレゼンテーションスキル
優れたコミュニケーションスキルに加え、プレゼンテーション能力も重要です。潜在的な顧客に対して、自社がどのように役立つのか、なぜ自社と仕事をすることを選ぶべきなのか、明確にわかりやすく説明できる必要があるのです。
これは面接の時だけでなく、商社で働く上でも重要なスキルです。
リーダーシップ
商社は、多様なバックグラウンドを持つ従業員をまとめて仕事を進める必要があるため、リーダーシップは非常に求められるスキルです。
そのため、リーダーシップを発揮した経験を持つ人は、会社から高く評価されることが多いのです。クラブやグループなどの組織を率いた経験がある場合は、面接でアピールするようにしましょう。
マーケティング知識
商社内の事業部で働きたいなら、マーケティングも学んでおくとよいでしょう。企画の効果を検証するためにも、マーケティングの知識は欠かせません。
商社の就活で選考通過率をアップするポイント
商社に採用される確率を上げるには、次の4つの対策をとることです。
1.企業研究を徹底的に行う
2.他の就活生と差別化を図る
3..SPI試験の準備をする
4.OB訪問をする
総合商社を志望する就活生は多いので、選考通過の可能性を高めるためにも、しっかりと対策をしておく必要があります。上記の対策を行うことで、内定に近づけるでしょう。
企業研究を実施する
選考通過率を上げるために企業研究をするのも一つの手です。
商社はどこも同じようなビジネスモデルのように思えますが、実は得意とする分野が異なります。
企業研究によって、その企業の強みを知ることができれば、他の応募者と差をつけられます。
また、企業の事業内容を理解することで、意欲的な人材として自己アピールがしやすくなります。
他の就活生との差別化を図る
商社への就職を希望する場合、他の候補者との差別化が重要です。
留学経験や英語が堪能であること、優秀な成績を収めた実績など、選考で評価されるスキルや経験があればアピールしてください。
また、リーダーシップを発揮した経験がある場合も、好意的に評価されます。
商社が求めるスキルや資質を持っていることをアピールすることで、選考通過の可能性が高くなります。
SPI対策を行う
商社の応募者は、エントリーシートに加えて、筆記試験とSPIなどのWebテストを受ける必要があります。SPIで合格を勝ち取るためには、事前の準備が重要です。
SPIは中学・高校で学習した内容が中心なので、解き方を忘れてしまっている場合もあります。なるべく早い時期から勉強を始めるとよいでしょう。合格ラインは企業によって異なるので、油断せずしっかり勉強することが大切です。
OB訪問＆インターンシップに参加する
インターンシップやOB・OG訪問に参加することで、業界分析、企業研究、そして自己分析ができます。そうすることで、自分と企業の相性を確認することができ、また、自分の特性をどのように仕事に活かせるかが見えてくるのです。
それをエントリーシートや面接で提示できれば、熱意があり、会社に対して献身的であると思われるでしょう。選考時には、就活生の実績が横並びになることが多いので、入社意欲で差別化することがアピールポイントになります。
また、商社によっては、インターンシップで高い評価を得た学生を選考で優遇しているところもあります。インターンシップでは、通常、”新規事業立案 “に関するグループワークが行われます。そのため、グループワークで目立った活躍ができたか、画期的な企画を提示できたかなどが評価されます。
どちらも学年に関係なく取り組める活動なので、早い段階から参加して余裕を持って準備しましょう。
まとめ
商社は扱う商品が多岐にわたり、様々な人と仕事をするため、求められるスキルも多くあります。特に、仕事を円滑に進めるためには、コミュニケーション能力やリーダーシップが重要です。
商社への就職を考えている就活生は、日頃からスキルアップを目指し、さまざまな分野を学んでおくとよいでしょう。