睡眠不足による頭痛に悩まされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。睡眠不足と頭痛の関係を理解することで、症状を緩和できるかもしれません。今回は、睡眠不足を改善するためのポイントも解説します。
そもそも寝不足とは?
必要な睡眠時間には個人差があり、必要な睡眠時間が確保できない場合、睡眠不足の状態に陥ります。

もちろん個人差はありますが、日本人の平均的な睡眠時間は6~8時間と言われています。
しかし、睡眠時間は長ければ長いほど良いというわけではありません。
大切なのは、睡眠時間だけでなく、睡眠の質です。この2つが揃うことで、適切な睡眠をとることができるのです。
日本人の睡眠不足状況
日本人のおよそ34%が日中に眠気を感じるというデータがあります。睡眠不足は国全体としての問題と言えるかも知れません。
https://www.mhlw.go.jp/content/000710991.pdf
(引用元:厚生労働省『令和元年 国民健康・栄養調査報告』)
寝不足による頭痛の種類

睡眠不足によって引き起こされる頭痛は緊張型頭痛と偏頭痛に主に分けられます。頭痛の症状を理解することで、より適切な対応が可能です。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、頭を締め付けられるような痛みが特徴的な頭痛の一種です。痛みの程度はさまざまで、30分ほどで頭痛が治まるケースもあります。
しかし、数日間頭痛が続くケースもあります。緊張型頭痛の最も一般的な症状は睡眠不足とされていますが、原因はこれに限定されるものではありません。その他、疲労やストレス、精神的な緊張なども緊張型頭痛の原因として考えられます。
睡眠不足が続くと、脳がストレスを受けやすくなり、緊張型頭痛が起こりやすくなるのです。
血流の悪化により老廃物がたまり、周囲の神経を刺激することで痛みが生じると考えられています。
なお、緊張型頭痛は頭の痛みだけでなく、肩こりや眼精疲労、全身の倦怠感などの症状が出ることもあるので注意が必要です。
偏頭痛
片頭痛は、こめかみにズキズキとした痛みを感じる頭痛です。この頭痛は通常、片側のこめかみに起こりますが、両側性の場合もあります。痛みの程度はかなり差があり、我慢できる程度から吐き気を催す程度まで様々です。片頭痛は男性より女性に多く、30歳代に多くみられます。
片頭痛は、寝不足のときだけでなく、寝過ぎのときにも起こります。睡眠時間が長いと、副交感神経が優位になるため、血管の拡張が顕著になる傾向があります。片頭痛も、血管の拡張によって痛みが生じるため、寝過ぎると起こりやすくなります。十分な睡眠を確保することが非常に重要です。
寝不足が原因の頭痛の対処法2選!

睡眠は私たちの健康にとって重要であり、睡眠不足の根本的な原因への対処は不可欠です。睡眠を改善するための効果的な方法を紹介していきます。
入浴
入浴して体を温めることで、リラックスした状態を作り出し、安眠を高めることができます。就寝の約90~120分前に、40℃程度のぬるめのお湯に入浴するのがおすすめです。肩まで浸かる全身浴がおすすめですが、半身浴でも効果的です。肩こりの解消には、全身浴が効果的です。全身浴が難しくても、半身浴でリラックスもできます。自分の体調に合った入浴方法を選びましょう。
頭痛薬の利用
頭痛薬の使用は、根本的な解決にはならないので、避けるべきです。
それよりも、睡眠の改善に注力することが最も効果的な対策となります。
頭痛薬は、緊張型頭痛でも片頭痛でも、頭痛薬の鎮痛作用により一時的に症状を緩和ができます。本当に頭痛の緩和が必要な時に使用しましょう。ただし、頭痛薬=睡眠不足というわけではないので、頭痛薬の慢性的な使用は避けた方がよいでしょう
カフェインを摂取する
カフェインには、血管を収縮させる作用があります。この収縮により、拡張した血管を狭めることで症状を軽減ができます。
カフェインはコーヒーや紅茶で摂取できますが、症状を軽減する最適な効果を得るためには、アイスで飲みましょう。
休息をとる
日光やスマートフォンなどの光による明るさが脳に刺激を与え、痛みが大きくなるケースがあります。頭痛が起こったら暗く涼しい場所で休みましょう。
寝不足が原因の頭痛の予防法3選!

頭痛が実際に起こってしまう前に、生活習慣の見直しを行ってみましょう。
具体的には以下の4つです。
・食生活を改善する
・体に適した寝具を使用する
・体内時計を整える
・適度な運動
一つずつ解説していきます。
食生活を改善する
質の良い睡眠をとるためには、生活のリズムを整えることが必要です。これは、1日3食(朝・昼・晩)、できるだけ毎日決まった時間に食事をすることです。忙しさにかまけて食事を抜いたり、1日2食を日常とする人も多いかもしれません。
しかし、食事と食事の間隔が大きく開いてしまうと、血糖値が低下してしまいます。これが頭痛の原因になることもあります。また、睡眠の質を高めるのに効果的な食べ物もあります。玄米や海藻に含まれるマグネシウムは、血管の収縮を防ぐ。肉や魚に含まれるビタミンB2には、片頭痛の症状を抑える働きがあります。食生活を改善することで、睡眠の質も向上させていきます。
身体に適した寝具を使用する
ぐっすり寝ても頭痛がする、疲れが取れない、目覚めが悪いなどの症状がある場合は、寝具をよく見直しましょう。
寝具が体に合っていないと、スムーズに体を動かせなかったり、寝返りが上手に打ててない可能性があります。
その結果、肩こりや疲労が蓄積され、睡眠の質が低下します。
対処法としては、寝返りのしやすいマットレスを使用することが挙げられます。体質にもよりますが、柔らかすぎる素材のマットレスよりも、やや硬めの素材のマットレスの方が寝返りを打ちやすいと言われています。
スムーズな寝返りをサポートしてくれるマットレスを選びましょう。また、合わない枕は肩こりや頭痛の原因になりますので、自分に合った枕を使うことも効果的です。ぜひ検討してみてください。
体内時計を整える
光には、体内時計を24時間に合わせる効果があります。私たちの体内時計の周期は、24時間より長く設定されていると言われています。そのため、体内時計を毎日早く調整しないと、体内時計のリズムが狂ってしまいます。そのため、起床後すぐに朝の光を浴びることが大切なのです。一方、夜間は光を浴びすぎないように注意しましょう。夜に光を浴びると、体内時計が遅れてしまうのです。また、スマートフォンなどの電子機器の色を暖色系に変更しましょう。暖色系は睡眠の妨げになりにくいので、試してみてください。
適度な運動
適度な運動は、血流を良くし、痛みや疲れの原因となる物質が流れやすくなるため、睡眠不足の解消にとても効果的です。特に日常生活でデスクワークや同じような姿勢を長時間続ける方は、定期的なストレッチも血流改善に効果的です。さらに、ジョギングやランニングなどの有酸素運動もおすすめです。睡眠直前の運動は興奮状態になる可能性があるので、就寝の3時間前くらいに運動するのが望ましいとされています。
寝不足による頭痛が起こりやすい人の特徴

寝ている間に肩や首が冷えたり、寝不足で頭痛がよく起こる人は、頭痛に悩まされる可能性が高くなります。また、枕が体に合っていなかったり、季節に合った布団を使っていなかったりすると、快適に眠れないことがあります。一度、自分の睡眠環境を見直してみてはいかがでしょうか。
頭痛に隠れている病気とは?
頭痛が起きたとき、いつも寝不足が原因だと決めつけるのは危険です。なぜなら、頭痛は時に重大な脳の病気と関連していることがあるからです。例えば、脳梗塞、くも膜下出血、脳出血、急性硬膜下血腫などです。十分な睡眠をとったにもかかわらず、痛みが続く場合は、これらの症状に注意しましょう。特に痛みが激しく、突然の場合は、できるだけ早く病院で診察を受けてください。
まとめ
睡眠不足と頭痛は密接な関係があるため、頭痛薬を飲んでも一時的な緩和しか得られません。根本的に解決するためには、生活習慣を改善し、寝具を見直してより良い睡眠をとることが大切です。