自閉症の中学生を持つ親御さんは、お子さんの学業の進み具合について心配されることが多いようです。”うちの子は自閉症のせいで学校の授業が進まない””勉強に集中できず成績が下がっている “などの心配をされることがあるようです。
自閉症の子どもは、得意な行動とそうでない行動が明確に区別されています。その個性を理解しなければ、勉強に集中することはできません。
この記事では、自閉症の中学生が勉強に集中できない理由を説明するとともに、保護者の方へのアドバイスもご紹介しています。
自閉症のお子さんをお持ちの方は、この記事を参考にしていただければ幸いです。
自閉症(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)とは

自閉症は、自閉症スペクトラムとも呼ばれ、先天性発達障害の一種です。アスペルガー症候群も自閉症の一種でもあります。
自閉症の症状としては、言語や発達の遅れ、コミュニケーションの難しさ、興味の偏りなどがあります。
これらの症状は、1歳から3歳の間に現れることがあります。自閉症は女の子よりも男の子に多くみられます。
自閉症は生まれつきの脳機能障害と考えられており、親のしつけや指導の不足によって発症するものではありません。
特に、自閉症の子どもは、学校での集団生活により、周囲とのコミュニケーションがうまくとれないことがあります。
また、自閉症は勉強に支障をきたし、引きこもり、うつ病、パニック障害などの二次的な病気に発展することもあります。
自閉症の中学生が勉強できない理由

自閉症の中学生は勉強ができず、困ってしまうことがあります。
なぜ勉強ができないのか。考えられる理由は以下の通りです。
①こだわりが強すぎて勉強に遅れがち
②コミュニケーション能力の欠如により、交流が難しくなることがある
③予期せぬ出来事に突然パニックになる
④空気が読めず授業を乱してしまう
それぞれ解説していきます。
①こだわりが強すぎて勉強に遅れがち
自閉症の子どもは、こだわりが強すぎて勉強が遅れがちです。同じやり方、同じ条件にこだわるため、授業中も勉強に集中できません。
例えば、ノートを書くまで黒板を見ない、同じ教科を納得いくまでやり続けるなどです。
些細なことが気になり、集中力が続かないなどの行動が見られ、勉強が苦手なのではなく、特定の方法に固執しすぎてしまいます。
②コミュニケーション能力の欠如により、交流が難しくなることがある
自閉症の子どもは、他人の表情や言葉のニュアンスの理解が難しい場合があります。
そのため、友達や先生に対して失礼な発言をしたり、指示を聞かなかったりすることがあります。
例えば、算数で先生から「もう少し勉強しなさい」と言われても、どの程度の努力が必要なのか判断できないことがあります。
また、冗談が通じないため、ちょっとからかっただけでケンカになることもあります。
コミュニケーションがうまくとれないと、自分に自信が持てなくなり、勉強もうまく進まなくなる可能性があります。
特に神経症の生徒が通う学校では、生徒がどのような世界を体験しているかを教師が理解すが必要です。
③予期せぬ出来事に突然パニックになる
自閉症の子どもたちは、予期せぬ出来事への対処が苦手です。予期していなかった状況に陥ると、パニックになることもあります。
例えば、午後の授業が変更になったり、先生が突然質問をしたりすると、不安になることがあります。そのため小さな環境の変化でも、授業に集中できず、勉強に遅れをが発生する可能性があります。
④空気が読めず授業を乱してしまう
自閉症の子どもは、社会的な合図を読み取る能力に欠けていることが多いです。
その結果、社会的な状況を理解し、うまく立ち回ることが難しくなることがあります。
例えば、友達の会話に割り込んだり、やめるべきところをずっと先生に質問し続けたりなどがあります。
このような社会常識の欠如は、うつ病やパニック障害など、さらなる困難につながる可能性があります。
自閉症の中学生に親がしてあげられる5つの対策

多くの自閉症児は、学校の勉強が苦手です。そのため、親が子どもをサポートすることが重要です。
そこで保護者ができる対策を5つご紹介します。
①宿題や課題の指示を細かく出す
②予習の時間を多く取ってもらう
③視覚情報に長けている教材を使う
④こだわりを否定しない
⑤静かな環境を作ってあげる
それぞれ解説していきます。
①宿題や課題の指示を細かく出す
家庭学習では、宿題や課題を細かく指示することが大切です。なぜなら、自閉症の子どもは細かいニュアンスの把握ができないからです。
「宿題をしっかりやりなさい」「算数の予習をもっとしなさい」といった曖昧な表現では、どれだけ勉強すればいいのかわからなくなってしまいます。
そのため保護者は、なるべく数字を使って指示を出すことが大切です。
例えば、”10日提出の算数の宿題は21時までに終わらせましょう”
“国語の予習を15~20ページやりましょう”
このように具体的な指示を出すと、自閉症の子どもも理解しやすくなります。
②予習の時間を多く取ってもらう
自閉症の子どもはこだわりが強い傾向があり、新しい勉強を始めるのが苦手な場合があります。新学期が始まり、新しい学習が始まると混乱することがあります。特に中学生になると、次々と新しい概念が加わってくるので、ストレスを感じることがあります。
だからこそ、予習に時間をかけることが大切なのです。予習をしておけば、新しい授業も落ち着いて受けられるはずです。
また、事前に先生に授業の範囲を聞いて、スケジュールを伝えておくとよいでしょう。事前に何を勉強するのかがわかれば、安心して授業に取り組めるはずです。
③視覚情報に長けている教材を使う
自閉症の子どもたちは、言葉を理解することが難しいことが多いのですが、見せられたものを正確に理解ができます。
そのため、視覚情報に優れた教材を使用することで、理解のスピードが上がります。例えば、図やイラストを多用した教材は、学習効果が高くなります。また、文章で具体的に説明されている教材もおすすめです。
自閉症児は、見て理解する力が強いので、その力を利用することで、効率よく学習ができます。
④こだわりを否定しない
自閉症の子どもは、勉強の仕方にこだわる傾向があります。
自分なりの手順を踏まないと、どこに向かっているのか想像がつかず、パニックになることもあります。細かく指示を出しても、手順や行動がいつもと違うと言うことを聞いてくれないこともあります。
そのため、保護者の方は、お子さまのこだわりを否定しないことが大切です。お子さまのこだわりの範囲内で、細かな指示を出すように心がけましょう。
また、同じ行動でも興味の幅を広げてみるのもおすすめです。
例えば、算数が好きな子であれば、社会科で計算問題を解かせてみるなど、他の教科への興味の幅を広げてみましょう。
ただし、一度に多くの情報を与えると、子どもが圧倒されてしまう可能性があるので、注意が必要です。
⑤静かな環境を作ってあげる
自閉症の子どもは、聴覚過敏の割合が高い。大きな音に驚きやすく、特定の音に過剰に反応し、音にストレスを感じやすい傾向があります。
特に学校では、音に触れる機会が多く、その結果、イライラすることが多くなります。例えば、友達の私語が気になる、チャイムの音にストレスを感じるなど、音に反応する場面は多い。
このようなことから、静かな環境を作ることが大切なのです。学校が難しくても、家庭でできる対策はあります。
イヤホンでテレビを聴く
大きな声で話をしない
耳栓やノイズキャンセリングイヤホンを使用する
このように、なるべく音を立てないようにしましょう。
また、学校の先生に耳栓の持参をお願いしておくとよいでしょう。音に敏感なお子さんがストレスなく過ごせる環境を整えるのも、親の役目です。
自閉症の中学生には「すらら」がおすすめ
すららは、中学校の国語・数学・英語・理科・社会のオンライン教材で、アニメーションのキャラクターが図やイラストを使って説明するため、視覚情報に優れた自閉症の子どもたちにも適しています。
また、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの問題が用意されているため、勉強が苦手な子どもでも安心して教材を利用ができます。
自閉症のお子さまに最適な環境を提供し、しっかりと学習に取り組めるようなシステムを構築しています。ご興味のある方は、ぜひオンライン相談・資料請求でご確認ください。
自閉症の特性を理解すれば勉強はできる
自閉症の子どもは、勉強が苦手なことが多いです。それは、コミュニケーションが苦手であったり、他の子どもよりもこだわりが強いので特徴をしっかり理解しましょう。
保護者の方としては、お子さんが勉強しやすい環境作りを心がけてください。お子さまのニーズに合った学習環境を探してください。