ADHDのお子さんを持つ親御さんは、高校受験や大学受験に不安を感じていませんか？さまざまなことに興味を持ち、集中力が途切れやすいADHDは、受験勉強でも不利になりがちです。
“ADHDのせいで受験勉強ができない。””どうしたら集中力を保てるのだろう？”と悩むこともあるようです。このような悩みをお持ちの方もいませんか？。
そこで本記事では、ADHDの子どもが勉強に悩む理由と、効率的な受験勉強の方法について解説します。お子さんの受験勉強に悩む親御さんは、ぜひ参考にしてください。
ADHD（注意欠如・多動性障がい）とは
ADHDは、不注意、多動性、衝動性のいずれかを特徴とする発達障害です。
不注意の症状には集中力の欠如が、多動性の症状にはじっとしていられないことが含まれます。衝動性とは、その場の思いつきで行動してしまうことを指します。
ADHDは、不注意が優勢なタイプ、多動性・衝動性が優勢なタイプ、混合型タイプの3つに分類されます。症状は、子どもによってさまざまです。グレーゾーンの子もおり、ADHDと診断されない子も多くいます。
ADHDに関連する問題行動としては、授業に集中できない、いつも忘れ物をする、ルールを守れないなどがあります。特に集中力が必要なため、ADHDの子どもにとって試験勉強は試練となるケースが多いです。
ADHDの子どもが勉強で大変になる3つの理由
ADHDの子供が大変になるポイントは以下の3つです。
①多動・衝動性があり集中力が途切れやすい
②忘れ物やうっかりミスが多い
③優先順位をつけるのが苦手
一つずつ解説していきます。
①多動・衝動性があり集中力が途切れやすい
ADHDの子どもは、非常に活動的で衝動的な傾向があり、授業に注意を払い、集中することが困難な場合があります。また、気が散りやすく、興味のないことは避けて通る傾向があります。
その上、ADHDの子どもたちは、通常、整理整頓が苦手です。机の上は他の人よりも散らかっていることがあり、教材の整理整頓に苦労することもあります。そのため、勉強しやすい環境を整えるのが難しいのです。
②忘れ物やうっかりミスが多い
ADHDの子どもは、忘れ物やケアレスミスをよくします。衝動的なところがあるので、何かが欲しくなると、それまで考えてたことをすべて忘れてしまうのです。
例えば、学校の持ち物の準備中にゲームに夢中になることはよくあることです。その結果、持ち物を準備しないまま登校してしまい、先生に叱られることもあります。
また、宿題や課題があっても、スケジュールを先延ばしにしがちなのもADHDの特徴です。試験勉強も、「後でやろう」と思い続けて間に合わなくなるケースもあります。
③優先順位をつけるのが苦手
ADHDの子どもたちは、優先順位をつけるのが難しいという問題を抱えています。毎日の課題を時間通りにこなすことも、試験勉強を効率的に進めることもできません。
受験勉強には、優先順位をつけて計画的に勉強する能力が必要ですが、ADHDの子どもたちの多くは、この点を苦手としています。
予定を立てても、簡単な勉強から始めたり、予定を変更して遊んだりと、うまく進まないことが多いのです。その結果、試験当日に間に合うように勉強することが難しくなってしまうのです。
ADHDの受験勉強を効率良く行う7つのポイント
受験勉強を効率よくする7つのポイントは以下の通りです。
①定期的なカウンセリング
②予定や持ち物の管理を覚える
③整理整頓を教える
④家庭教師や塾に頼る
⑤楽しく学べる教材を取り入れる
⑥短時間の勉強を繰り返す
⑦特例措置の申請
一つずつ解説していきます。
①定期的なカウンセリング
思春期の子どもたちの多くは、さまざまな場面で精神的に不安定になることがあります。そのため、日頃から専門家のカウンセリングを受けることが有効です。
カウンセリングでは、子どもの状態を総合的に分析することができます。さらに、ADHDの子どもは学校に適応するのに苦労することが多いので、カウンセリングによって自分の問題を伝え、思考を和らげることができます。
カウンセリングでは、その子の特性に合わせて治療が行われます。受験勉強にどのように取り組むのがベストなのか、カウンセラーに相談すれば、効果的な勉強法や対処法を見つけられます。
②予定や持ち物の管理を覚える
カレンダーアプリやリマインダー機能の利用がおすすめです。ちょっとしたことでもカレンダーに記録しておけば、スケジュールを確認するときに思い出すことができます。スケジュール管理ができるようになれば、一気に効率が上がります。
③整理整頓を教える
AADHDの子どもたちは、一つのことに集中するのが苦手なことが多いようです。
机の上はたいてい散らかっていて、自分で効果的な勉強環境をつくるのが難しい状態になっていませんか？そのため、親が子どもに整理整頓の仕方を教えることが大切です。
おすすめは、机のまわりにあるものを減らすことです。例えば、「机の上には使う勉強道具だけ置く」「勉強道具は別の部屋に片付ける」など、机の上を片付けるルールを作るとよいでしょう。
また、先ほど紹介したカレンダーやリマインダーで片づけの時間を作ると、親子で定期的に片づける習慣が身につきます。環境や習慣も、勉強と同じくらい大切だと教えてあげてください。
④家庭教師や塾に頼る
勉強に集中できないと悩んでいる人は、家庭教師を探したり、専門の塾に通ったりするのも一つの方法です。学校の授業よりも内容が濃く、サボれない状況を作ることができるのがポイントです。
特に家庭教師は1対1で学習するため、気が散りやすいADHDの子どもでも集中しやすくなる可能性があります。
最近では、ADHDに特化した家庭教師・塾も登場しています。ADHDの特性を理解しているため、学習効率の向上が図りやすいのです。集中力が続かないお子さんをお持ちの方は、こうしたサービスを利用してみてはいかがでしょうか？
⑤楽しく学べる教材を取り入れる
ADHDの子どもは、興味のあるものに対して高い集中力を維持できる場合があります。例えば、ゲーム形式で進行する授業や、キャラクターが登場する教材などは、興味を持つことができるかもしれません。
最近では、ゲーム感覚で楽しめる教材も増えており、子どもたちの興味を引きます。
また、課題をクリアすることに喜びを感じるので、チャレンジする要素もあります。こういった教材を使うことも、子どもの集中力を持続させる一つの方法です。
⑥短時間の勉強を繰り返す
ADHDの子どもは、長時間集中することが苦手です。そのような場合は、短時間の勉強を繰り返す勉強法がおすすめです。ADHDのお子さんにとって、勉強は “長時間、大変な作業 “というイメージがあるようです。短時間であれば、”もう少しで休めそうだから頑張ろう “という気持ちになるのでしょう。
おすすめはポモドーロ・テクニックです。これは、「25分作業」「5分休憩」を繰り返す時間管理術で、1ターン1タスクを設定すれば、余計なことを考える暇もなく勉強に取り組めるというもの。
集中力が切れそうになったら休めるので、ADHDの子どもには最適な方法です。
⑦特例措置の申請
試験当日、周りの受験生に圧倒され、気が散ってしまい、集中できないお子さまもいらっしゃいます。そのような場合は、文部科学省が定めた特別措置を申請してください。
特別措置とは、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、病弱、精神疾患などを持つ人のための措置です。ADHDの場合は精神疾患に該当し、「別室（2～10人の小グループ）」「トイレの近くの試験室」等の措置が可能です。
特別措置の申請には、「高等学校卒業程度認定試験における身体障害者等の特別措置申請書」と「医師の診断書」の提出が必要です。
引用：文部科学省：身体上の障害等にかかる特別措置
ADHDでも受験勉強に取り組める
学校で集中できない子どもには、考え方や環境の整え方を教えることが大切です。そうすることで、学校に対する姿勢も変わってきます。ぜひ、お子さまの特性を理解し、一人ひとりに合った勉強法を探してみてください。